Rusty Lake’s Cube Escape Collection ネタバレ解説(1)

Rusty Lakeタイトル

ついにCube Escapeのコレクションゲームが出たぞ!

2015年にCube Escape : Seasonsをリリースして以来、世界観の繋がる10作以上の謎解き脱出系アドベンチャーを送り出し、世界中の脱出ゲームファンをとりこにしてきたRusty Lake。

2020年、過去の総集編とも言えるCube Escape CollectionがSteamにて発表され、ついに2021年、iOS版がリリース!

Cube Escapeの作品はすべてが独立しているが、世界は繋がっている。

そして、Cube Escapeが描くのはRusty Lakeワールドのいわゆる「本編」であり、さらにRusty Lakeの名を冠した3作品+スピンオフ2作品(※2021年4月現在)の補完を得て、ようやくその全貌が見えてくる。

そのうち4つはプレミアム(有料)ゲームだが、ハマった人は全部買っても後悔しないはずだ。(ただし、Cubeシリーズよりグロいため注意。)

謎解きのシュールさと、プレイヤーを突き放した予想させない展開、シリーズを追うごとに明らかになる謎と深まる謎のバランスが絶妙な、脱出ゲーム界のTwin Peaksと呼ばれるRusty Lake/Cube Escapeの世界をまとめて楽しめる今作。

あとでプレイしても楽しめるよう、有料の4作品については深くネタバレしない範囲でCube Escape各作品のネタバレ解説と、Rusty Lakeシリーズとの関係性について紹介していく。

 目次

Cube Escape Collection各作品の解説

Cube Escape Collectionでプレイできるのはこの9作品。プレイする順番について、公式からはこうアナウンスされている。

これらのゲームは以下の順番でプレイすることをお勧めします:Seasons、The Lake、Arles、Harvey’s Box、Case 23、The Mill、Birthday、Theatre、The Cave

– Rusy Lake公式

これは、各ゲームのリリース順。ゲームの操作や世界観に慣れる意味では妥当な順序だろう。(結局、実績解除のためあちこち飛び回ることになるし。)

本記事でも、この順に解説していく。

!注意!
Cube Escapeシリーズは完結していません。また、真相についての公式見解も発表されていません。そのため、以下は2021年3月までの全シリーズを通して得られる、あくまで解釈の一つであることをご了承ください。

Seasons

四つの季節、異なる年の同じ部屋を順に脱出していく。

「春」の時点で抗うつ剤を服用している部屋の主(プレイヤー=主人公)だが、季節と年を経るごとに病状が悪化していく。

幻覚を見、女性の殺害、ペットの殺害に手を染め、「冬」にはひとり、怪しげな実験を進める。鏡に映る姿は黒い影の殺人鬼ーー。

と、ここまでは超危険人物にしか見えない主人公だが、「冬」には過去の世界を(良い方向に)変えようとしていたことがわかる。
その過程で助け出したハーヴェイ(オウム)の力も借りて、実験は成功。ついに、自分の真の姿を取り戻す。

それは、何度も写真や幻影で見た、殺された女性その人だった。

後の作品で判明する、女性の名前は「ローラ」。ラストシーンで判明するのは、「黒い影=ローラ」だったという真実。

「春」にはローラだった主人公だが、「秋」の時点ではすでに黒い影(公式の日本語訳は「堕落した魂」なので、以降そう呼ぶ)に変わり果ててしまっている。部屋の血痕はローラの自殺の痕跡だった。

秋は幻覚もピークに達し、そのまま人ならざるモノになってしまったのか……と思いきや、その10年後の冬、彼女は堕落した魂のまま、過去を変えるために動き始めるのである。

それぞれの季節の間に、一体何があったのか?

それを語るのが、これから始まるCube Escapeの物語なのだ

キューブ+火 記憶からの脱出

電話+燃料 過去を変える

Seasonsで提示される重要なキーワード

The Lake

主人公は湖畔の小屋でひとり、奇妙な釣りに没頭する。

この作品だけでは全く分からないが、この主人公も「女性(ローラ)」である。Seasonsのコルクボードに、「Rusty Lake Mental Health & Fishing(メンタルヘルスと釣り)」というビラがあった。彼女はあの広告を見て、静養のためRusty Lakeに行き、「The Lake」を体験することになる。

短い作品ながら二つのエンディングがある。通常エンド(青宝石エンド)の主人公は、堕落した魂に取り憑かれ、Seasonsでの奇行に繋がる"最初のローラ"を示唆している。

一方で、隠しエンド(緑宝石エンド)の主人公は、Seasonsの過去戻りで得た知識(パスワード)を使って正しいピースを集め、堕落した魂に打ち勝つ"帰ってきたローラ"だ。つまり、Seasonsの「冬」から過去に戻った彼女が、自分を救ったシーンということ。

The Lakeの隠しエンドは、Cube Escape時系列のラストに直結する重要なシーンといえる。

The Past Is Never Dead. It Is Not Even Past.(過去は決してなくならない。過ぎ去りしものでもない。)

The Lakeで提示される重要なキーワード

Arles

かの有名な画家ヴィンセント・ヴァン・ゴッホの、「ゴッホの寝室」からの脱出。ポール・ゴーギャンも友情出演!

Rusty Lakeの他の作品とはあまり関連がなく、強いて言うなら「ゴッホがRusty Lakeを描いた絵(という作中設定のゲームオリジナルの絵)がある」「ゴッホも堕落した魂になっていた」というあたりがフレーバーか。

ゴッホはRusty Lakeシリーズと同じオランダ生まれ。同郷の偉人へのリスペクトを感じる一作。


Harvey’s Box

どうやら箱の中のようだ。運ばれている。Rusty Lake行きの送付票。フルーツの迷宮を抜けると、到着したらしい。小さな隙間から見える、箱の向こうに広がる景色は、Rusty Lake...

この作品の主人公は、Seasonsで登場した飼いオウム、ハーヴェイ。箱の壁面に映る影がそれを物語っている(タイトルにもなってるけど)。

ここで明かされる事実は、The Lakeの年代の特定だ。ハーヴェイは1969年:Seasons「春」の5年後、「夏」の2年前にRusty Lakeに運ばれ、堕落した魂と対峙している。さらにThe Caveにて、ローラとハーヴェイは一緒にRusty Lakeにいたことが判明する。ローラは1971年にはSeasonsの部屋で殺されてしまうので、ハーヴェイがRusty Lakeにいた年に、ローラも同じ場所にいた--The LakeとHarvey’s Boxは同時期に起こっていた、と考えることができる。

つまり、ローラは「夏」の時点ですでに、堕落した魂に取り憑かれていたのだ。

さて、ハーヴェイを襲った堕落した魂の正体については、有料ゲームシリーズのRusty Lake Hotelに登場した「ある人物」と関係がありそうだ。Hotelの記事を書くことがあれば、考察してみたいと思う。

1969(ハーヴェイがRusty Lakeに行った年、Seasons「夏」の2年前)

Harvey’s Boxで提示される重要なキーワード

次の記事では、引き続きCase 23、The Mill、Birthday、Theatre、The Caveの解説と、Cube Escape Collectionの時系列等を紹介していく。

Case 23、The Mill、Birthdayの解説

Rusty Lake’s Cube Escape Collection ネタバレ解説(2)へ

Theatre、The Caveの解説と、Cube Escape Collectionの時系列等

Rusty Lake’s Cube Escape Collection ネタバレ解説(3)へ